さらに、パネルの角度も重要です。日本の場合、最適な角度は30度前後とされていますが、地域によっては日照角度に合わせて調整が必要です。この角度調整により、年間の発電効率が5%から10%改善することがあります。また、遮蔽物がないことが理想ですが、木や建物の影響でパネルの一部が影に入ると、システム全体の効率が最大20%低下するリスクがあります。したがって、設置場所を選定する際には、日照の妨げとなる要素を考慮することが不可欠です。
過去の大規模災害時にも、太陽光発電の設置場所が電力供給に大きな影響を与えた事例があります。例えば、2020年の台風時に停電が発生した地域では、屋根にソーラーパネルを設置していた家庭は、停電中でも電力を確保できましたが、設置場所が不適切で十分な発電ができなかった例も見られました。このように、設置場所の選定は発電効率だけでなく、緊急時の電力供給能力にも関わる重要な要因です。
また、費用対効果の面では、設置場所が広ければ広いほど初期コストが上がるため、最適な面積とコストバランスを考慮する必要があります。パネル1枚あたりの価格は、容量やメーカーによって異なりますが、一般的には1枚あたり5万円から10万円程度です。大規模な設置には補助金や税制優遇措置が適用されることもあり、長期的なコスト削減が期待できます。
加えて、最近では、屋根以外の場所への設置も検討されています。例えば、太陽光発電パネルを地面に設置する「地上設置型」のシステムや、駐車場の上部に設置する「カーポート型」のシステムも普及しています。これらの設置方法は、スペースに余裕がある場合や屋根の強度に問題がある場合に適しています。
最適な設置場所を選ぶことは、太陽光発電の効率と収益性を最大限に引き出すために不可欠です。